OUT CASE2:アルバート・ウェスカーの場合
穏やかな朝日が差し込む気配で、ウェスカーは目を覚ます。
「うむ………」
枕元に置いておいたサングラスを掛けると、体を起こし、軽く肩などならしてベッドから起きる。
「ふむ、いい朝だ…………」
サングラス越しに朝日を見つつ、カーテンを開ける。
眩いばかりの朝日が、全裸のウェスカーの体を照らし出していた。
鍛え、絞り込まれた肉体と、朝を雄雄しく主張する漢を惜しげも無くさらしながら、コーヒーメーカーのスイッチを入れ、テレビを付ける。
コーヒーが沸くのを待ちながら、全裸のままソファーに腰掛けて朝のニュースを眺めていく。
「また忙しくなりそうだな」
国際情勢悪化の話題を聞きつつ、ほくそ笑む。
ちなみになぜか漢は朝を主張したままだ。
コーヒーが沸いた事を知らせる電子音を聞くと、おもむろにソファーから立ち上がり芳醇な香りを漂わせるコーヒーの満たされたサーバーを手に取り、棚から用意しておいたベーグルとマグカップを取り出してソファーへと戻る。
「朝にはやはりコレだな」
相変わらず全裸のままおもむろに朝食を取り始めたウェスカーが、朝のニュースが一段落したのに気付くと、ベーグルをかじりながらチャンネルを変える。
いきなり映し出された男の筋肉に驚きもせず、マグカップの中のコーヒーをすする。
「ふむ、新人か」
有料ケーブルテレビのボディビル専門チャンネルを朝から見る、という暴挙を平然と行いながら、出てくるマッチョを品定めしつつ、朝食を平らげていく。
「後背筋が甘いな」
低い笑みをこぼしつつ、ベーグルを咀嚼する。
ちなみに漢はなぜかより強く己を主張していたりする。
「まだまだアマチュアばかりだ」
残ったコーヒーを一息に飲み干すと、ウェスカーはテレビを消してソファーから立ち上がる。
相も変わらず全裸のまま、寝室にあるPCのスイッチを入れた。
起動したディスプレイに自らの筋肉がアップで映し出されるのを見ながら、ネットへと接続。
と同時に、巡回プログラムが指定アドレスにアップロードが有った事を知らせた。
「ほう………」
ニタリという表現がぴったりの笑みを浮かべつつ、その指定アドレスにアクセス。
アップロードされていた紹介画像を確認する。
「相変わらず坊やだな、クリス………」
ディスプレイに映し出された元部下の無修正全裸画像を見つつ、何故か脇に置いてあるティッシュに手を伸ばし…………
間
「いつか、私が本当の漢にしてやる………」
丸めたティッシュをゴミ箱に投げ捨てながら、手早く全編ビデオの購入手続きメールを作成、送信。
最近割高になってきている気もするが、気にも止めていない。
「さて、今日も頑張るか…………」
何故か爽やかな笑顔でウェスカーは立ち上がる。
結局、最後まで全裸のままだった……………